木製建具が日本で発達した理由とは?
西欧「石の文化」日本「木の文化」
建築学を学ぶと、一般的に西欧の家が「石の文化」でその構造を設計されているのに対して、日本は「木の文化」で構造設計されていると考えられています。
古くから、西欧では家が自然に対抗するものとして建築されてきたのに対して、日本では家も自然の一部として建築されてきたという、根本的な家に抱く価値観の違いから、このような文化の違いが生まれてきました。
日本の「木の文化」は気候風土のたまもの
日本の建築において、家を自然の一部とみなし、建築物を作る際に木を使う文化が発達した理由、それは日本の気候風土と言える「高温多湿」「はっきりとした四季」に大きな要因があります。
夏は蒸し暑いため、ふすまや障子をあけ放って外部の空気を取り入れる一方、冬はこれを締めて寒さをしのぐ必要があります。
耐久性と軽量性を備えた木による建築が、日本の家づくりには必要だったのです。
更に、古来より日本は地震大国であったことから、建物に耐震性が必要とされており、木の吸湿性や柔軟に曲がる構造が家づくりに適していました。
これら複数の条件が合いまって、日本の家づくりは「木の文化」により発達してきました。
森林資源の豊富さも「木の文化」を担う一因
更に「木の文化」を支えるうえで、日本には古来より豊富な森林資源が原料として存在しました。
今でいう、地産地消の概念も建築における「木の文化」を支える要因と言えるでしょう。
木造建具も「木の文化」により発達
これらの要因から、古来より日本では建具の高度な技術が求められてきました。
「建具屋」という職業は平安時代から存在し、「建具師」「戸屋」「戸障子師」とも呼ばれていました。
エアコンの無い時代に、如何に快適な住環境を作れるかを考えて、技術を発展させてきた業界の先人たちの知恵は、今も私達に受け継がれています。